ぴるすなー【ピルスナー】
- ピルスナーの発祥はチェコ。1842年、チェコのピルゼンという都市で誕生した。黄金色で白い泡の見た目が特徴。
- 日本の大手ビールをはじめ、多くのビールメーカーが醸造しており、世界で最も飲まれているスタイル。
ピルスナーとはビアスタイル(ビールの種類)のひとつ。世界で最も飲まれているスタイルで、ビールと聞いてピルスナーを思い浮かべる人は多いでしょう。
ピルスナーとはどんなビアスタイルなのか、どんな料理に合わせればいいのか、適したグラスは何かについて解説します。また、飲んでおきたいピルスナーの銘柄についても紹介しましょう。
ピルスナーとはどんなビール?
ピルスナーとは、黄金色の液体に白い泡が特徴的なビアスタイルのひとつです。ピルスナーという名前を知らなくても、ビールと聞いて多くの人がピルスナーの外見を思い浮かべるくらいメジャーなビアスタイルだといえます。
大手ビール会社のビールはピルスナーが多い
ピルスナーは、世界で最も飲まれているビアスタイルだといっても過言ではありませんが、それは日本でも同様です。
大手ビール会社4社が造る、キリン一番搾り生ビール、アサヒスーパードライ、ザ・プレミアム・モルツ、サッポロ生ビール黒ラベルは、いずれもピルスナー(分類方法によっては違うスタイルになる場合もあります)。居酒屋で「とりあえずビール」と言って出てくるビールは、基本的にピルスナーだと思っていいでしょう。
ピルスナーはラガー(下面発酵)のスタイルのひとつ
ビールは発酵に使われる酵母の違いによって、ラガー、エール、自然発酵の3つに分けられます。
ラガーとは、ラガー酵母を使用しており、発酵が終わると酵母が麦汁の下の方に沈んでいくため、下面発酵と呼ばれます。また、エールとは、エール酵母を使用しており、発酵が進んでいくと酵母が麦汁の上のほうに浮かんでいくため、上面発酵と呼ばれます。
さらに、自然発酵は醸造所周辺に生息している野生酵母を麦汁に取り込んで発酵させる方法。ベルギーの首都ブリュッセル近郊などで造られるランビックが知られていますが、自然発酵のビールはあまり多くはありません。
ピルスナーはラガーのスタイルのひとつで、すっきりとしてシャープな味わいが特徴です。
ピルスナーはチェコが発祥
ピルスナーというビアスタイルの発祥はチェコ。1842年に、チェコのピルゼンという都市で生まれました。
ピルスナーが生まれるまでは、ビールといえばダークな色合いが一般的。ピルスナーのような黄金色で明るいビールはなかったこともあり、その人気は世界中に広まっていきました。
ビールが黄金色になった理由としては、ピルゼンの水が軟水だったことが挙げられます。ビールの色合いは麦芽によるところが大きいのですが、水が硬水だと色が濃くなりやすく、軟水だと薄くなりやすいという傾向があります。
また、ピルスナーが生まれた頃に、ガラスのグラスが作られるようになったことも、人気になった要因のひとつかもしれません。黄金色の見た目がガラスを通して見えるため、その目新しさもあって広まっていったと考えられています。
ボヘミアンピルスナーとジャーマンピルスナー
ピルスナーというビアスタイル自体もいくつかに細分化できるのですが、その中でも大きな分け方としては、ボヘミアン・ピルスナーとジャーマン・ピルスナーの2つがあります。
ボヘミアン・ピルスナーとは、ピルスナーが生まれたチェコのスタイル。ジャーマン・ピルスナーはその名の通りドイツのスタイルで、ボヘミアン・ピルスナーと比べると、色がやや薄く、甘味が抑えられていてライトな印象のものが多くあります。
ピルスナーの味わいと見た目
ピルスナーの味わいや見た目にはどんな特徴があるのか紹介しましょう。
ピルスナーの味わい
ピルスナーの味わいは、すっきりしていてシャープな口当たりが特徴。モルトの風味がしっかりと感じられ、さわやかなホップ由来のアロマや苦味もあります。
アルコール度数は4%〜6%に収まるものが多く、アルコール感はさほど強くありません。
飲んだ後にも味が残ることなく、スッと消えていくものが多いのも特徴といえるでしょう。
見た目
ピルスナーは、黄金色の液体に真っ白な泡が特徴的。ただし、銘柄によってはやや色の濃いものもあり、必ずしも黄金色とは限りません。
ピルスナーと合わせたい料理
ピルスナーの特徴は、すっきりした味わいとシャープな口当たり。その特徴をどう生かして料理と合わせればいいのかを解説します。
合わせる料理の考え方
ビールと料理の合わせ方にはいくつかの方法がありますが、ピルスナーの場合は「ビールで口の中をリセットする」という考え方が最も簡単です。
油が多めの料理を食べた後にビールを飲むことで、口の中に油が残らずすっきりします。こうしてリセットされると、また料理が食べたくなり、ビールも続けて飲みたくなるという循環に。ただ、魚料理と合わせる場合は、魚の生臭さが強調されてしまうこともあります。特に焼き魚では顕著です。
とはいえ、ビールと料理の組み合わせ方に絶対的な正解があるわけではなく、魚と合わせてもおいしいと思えばそれが正解です。あくまでも参考として考えてください。
ソーセージ
ピルスナーと合わせて間違いない料理のひとつがソーセージ。ビールと料理を組み合わせる際に、そのビアスタイル発祥地の料理と合わせるという方法もあるのですが、ピルスナーとソーセージがまさにそのいい例です。
ジャーマン・ピルスナーの発祥であるドイツは、ソーセージが代表的な食文化のひとつ。ソーセージの油っぽさをピルスナーが流し込み、口の中をリセットしてくれます。
唐揚げ
唐揚げもピルスナーと合わせやすい料理です。油をピルスナーが流し込むというのは説明した通りですが、やや色が濃かったり、モルト感が強かったりするピルスナーであれば、ビール自体の旨味が唐揚げの力強さに負けることなく味わえるでしょう。
ピルスナーに適したグラスとは
ビールはどんなグラスであってもおいしく飲むことはできますが、スタイルに合ったグラスで飲むとよりしっかりとその特徴を感じられます。
ピルスナーであれば、背の高いグラスを使うといいでしょう。背の低いグラスに比べると、ビールが口の中に入ってくるスピードが速く、スムーズに飲み進めることができます。
<ビールクラシックス> ピルスナー
ドイツのグラスブランドであるシュピゲラウが作るピルスナーグラス。「ビールクラシックス」シリーズは、そのスタイルの伝統的なグラスの形状を踏襲しているものです。
<ビールクラシックス> ピルスナーは、グラス下部にややくびれがあるスタイル。見た目も美しく、ピルスナーの味わいの特徴をしっかりと引き出します。
<クラフトビールグラス> クラフトピルスナー
こちらもシュピゲラウのピルスナーグラス。「クラフトビールグラス」シリーズは、クラフトビールの個性をより引き出す形状になっています。
<クラフトビールグラス> クラフトピルスナーは、やや丸みのある形状が特徴。口がややすぼまっており、ビールを注ぐ際に上部をすこし空けておくことで、ホップの香りがより楽しめます。
うすはり ビールグラス(ピルスナー)
グラスの厚みが一般的なグラスに比べてかなり薄いのが特徴。飲み口がよりシャープに感じられ、ピルスナーのようなすっきりとした味わいのビールには最適なグラスです。
厚みが薄い分、口でグラスを感じる部分が少なく、直接ビールが口の中に入ってくるような感覚。なめらかで持ちやすいフォルムもポイントです。
飲んでおきたいピルスナー5銘柄
ピルスナーは世界中で最も飲まれているスタイルなので、その銘柄も星の数ほどあります。その中でも飲んでおきたいピルスナーを5つ紹介します。
ピルスナー・ウルケル
ピルスナーの元祖であるピルスナー・ウルケル。ドイツ人のヨーゼフ・グロルによって、1842年にチェコのピルゼンで初めて造られたピルスナーです。名前は「元祖ピルスナー」という意味合い。
豊かなモルト感、カラメルを感じる甘味、しっかりした苦味がありながらも、アルコール度数は4.4%。飲みごたえとドリンカビリティが両立した味わいです。
トラッド ゴールド ピルスナー(ベアレン醸造所)
岩手県盛岡市のベアレン醸造所が造るザ・デイシリーズのピルスナー。チェコ産ホップであるザーツをふんだんに使い、シャープな苦味が特徴のビールです。
ピルスナー(横浜ビール)
1999年から横浜でビールを醸造している横浜ビールのピルスナー。ボヘミアン・ピルスナーで、モルト由来のしっかりした味わいとホップの上品な香りと苦味が両立した味わいです。
ピルスナー(エチゴビール)
「全国第一号地ビール」のエチゴビールによるピルスナーは、チェコ・ザーツ産アロマホップを使用。さわやかなホップの香りとモルトの旨味のバランスのいい味わい。
COEDO瑠璃-Ruri-(コエドブルワリー)
小江戸と呼ばれる埼玉県川越市に本社を置くコエドブルワリー。口当たりが軽やかでありながら、しっかりとホップのフレーバーが感じられます。さわやかで飲み飽きないピルスナー。
飲み慣れた味わいだからこそ銘柄の違いがわかる
ビールといえばピルスナー。飲み慣れた味わいだからこそ、いろいろと飲み比べてみると、銘柄ごとの微妙な違いまでわかるかもしれません。
グラスによっても味わいは変わりますし、料理と合わせることで今までに知らなかった魅力も引き出せるでしょう。いつもとちょっと違った飲み方をしてみるのも楽しいものです。
自分の好きな銘柄や飲み方を見つけてみてください。