ペールエール【ペールエール】
- ペールエールとはイギリスが発祥の上面発酵で造られるビール
- フルーティーなホップの香りが特徴的で、イングリッシュスタイルペールエールとアメリカンスタイルペールエールに大きく分けられる
ペールエールとは?
ペールエールとは、イギリスが発祥の上面発酵で造られるビールです。ペールエールの歴史と種類について紹介します。
ペールエールの歴史
ペールエールの発祥はイギリスです。一説には、1642年からペールエールのようなビールは造られており、初めてペールエールという言葉が使われたのは1703年とされています。
ペールエールの「ペール」とは「薄い」「淡い」という意味で、それまでのビールよりも色が淡いことから名づけられました。当時のビールはコークスで焙煎された麦芽を使っていたため、かなり濃色だったのです。そのビールに比べると「ペール」ということで、現在よく飲まれているピルスナーに比べると、「ペール」とはいえない色合いです。
このペールエールが世界中に広がっていった結果、ペールエールから新しいビアスタイルが派生していくようになります。
イングリッシュスタイルペールエールとアメリカンスタイルペールエール
現在、ペールエールはイングリッシュスタイルペールエールとアメリカンスタイルペールエールの2つに大きく分けられます。もちろん、これ以外に派生したスタイルもあるのですが、一般的にペールエールというと、このどちらかを指すことが多くなっています。
イングリッシュスタイルペールエールとアメリカンスタイルペールエールの大きな違いは、使用するホップです。ホップが異なることによって、香りと味わいが変わってきます。
イングリッシュスタイルペールエールは、イギリス産ホップを使用しています。イギリス産ホップは、若草のような香り、ダージリンを思わせる香りが特徴です。イングリッシュスタイルペールエールも、そのような香りのあるビールが多くなっています。
味わいに派手さはないものの、アルコール度数は5%前後のものが多く、飲み続けられるビールだといってもいいでしょう。
一方、アメリカンスタイルペールエールは、アメリカ産ホップを使用しています。アメリカ産ホップは、オレンジやグレープフルーツなど柑橘系を思わせる香りが特徴です。アメリカンスタイルペールエールも、柑橘系の香りがあり、苦味もしっかりしているビールが多くなっています。
中にはかなり苦味が強いペールエールもあり、IPAとの境目がわからないこともあります。ビールの審査会などでは味やアルコール度数などの幅が決められていますが、実はそれに当てはまらないペールエールも多いのです。
ペールエールから派生したビアスタイル
イギリスが発祥のペールエールから、派生したビアスタイルはいくつもあります。アメリカンスタイルペールエールの他に、香りと苦味の強いIPA(インディアペールエール)も代表的です。
さらに、IPA自体もインペリアルIPA、ヘイジーIPA、ブリュットIPAなどと派生しており、ペールエールをもとにしたスタイルは枚挙にいとまがありません。
また、ベルギーでベルジャン酵母を使用したベルジャンペールエールもあります。ベルジャン酵母のスパイシーさが特徴的で、ホップの香りと交わって独特のフレーバーを造り出しています。
ペールエールに合う料理
ビールと料理を合わせるときは、ビールと料理の色を合わせたり、発祥国を合わせたりするのが基本です。
色を合わせるというのは、濃い色のビールには濃い色の料理、薄い色のビールには薄い色の料理を、ということです。つまりは味の濃さ・強さを合わせましょうということです。濃い色のビールはロースト感があることが多く、あっさりした味の料理を合わせてしまうと、料理が負けてしまいます。逆もしかりです。
発祥国を合わせるというのは、その組み合わせが合うからこそ今まで残ってきたということですね。絶対合うとまでは言いませんが、合う可能性は高くなります。
では、ペールエールに合う料理を紹介していきましょう。
フィッシュアンドチップス
フィッシュアンドチップスは定番ですね。ペールエールに限らず、いろいろなビールに合うと思いますが、イギリスの伝統的なパブメニューであるフィッシュアンドチップスと、イギリス発祥のイングリッシュスタイルペールエールはよく合います。
鶏の唐揚げ
鶏の唐揚げは、アメリカンスタイルペールエールに合います。これも他のビールでも合うと思いますが、アメリカンスタイルの柑橘系フレーバーが鶏肉に合うのです。唐揚げにレモンをかけることがあると思いますが、同じようにペールエールの柑橘系フレーバーが唐揚げに作用します。オレンジソースをかける鶏料理もありますし、柑橘系と鶏肉は相性がいいといえるでしょう。
また、鶏肉の唐揚げの色とペールエールの色も合っています。
ペールエールにオススメのグラス
ペールエールの魅力を最大限に味わうために、グラスにもこだわってみたいものです。ペールエールに合う代表的なグラスを紹介します。
ノニックグラス
ノニックグラスとは、上部の持ち手の部分が少し膨らんでいるグラスのこと。イギリスのパブでもよく使われているグラスで、スタッキングしやすい機能的なデザインになっています。
1パイントサイズとハーフパイントサイズなど、サイズがいくつかあるので自分に合ったサイズを選んでみてください。
チューリップグラス
チューリップグラスとは、文字通りチューリップの花のような形をしたグラスです。チューリップグラスの半分くらいまでビールを注ぎ、上部に香りをためることで、より香りを感じられるようになります。
特に、アメリカンスタイルペールエールの柑橘系の香りをしっかり感じたい場合には、適しているグラスだといえるでしょう。なお、チューリップグラスはペールエールに限らずどんなビールにも対応できるので、1脚持っていて損はありません。
代表的なペールエールの銘柄
最後に、代表的なペールエールの銘柄を紹介しておきましょう。
よなよなエール
よなよなエールは、長野県のヤッホーブルーイングが造るペールエール。日本を代表するアメリカンスタイルペールエールといってもいいかもしれません。コンビニやスーパーでも購入することができるので、最も入手しやすいペールエールともいえるでしょう。
アメリカンスタイルらしく、柑橘系の香りが特徴的。ふわりと香る柑橘系アロマに、軽いモルトの甘味がバランスよくまとまっています。
シエラネバダ ペールエール
シエラネバダ ペールエールは、アメリカのシエラネバダブリューイングが造るアメリカンスタイルペールエールの元祖的存在です。アメリカ産ホップの代表的銘柄であるカスケードを、世の中に広めたビールといってもいいかもしれません。
シエラネバダ ペールエールは1980年から造られており、いわゆるクラフトビールが人気になっていったのも、このビールがきっかけのひとつだったともいえるでしょう。カスケードらしい柑橘系のアロマとほどよい苦味が魅力のビールです。
アンカー リバティーエール
アンカー リバティーエールも、シエラネバダ ペールエールと並んでアメリカンスタイルペールエールの元祖的存在のビールです。1965年にフリッツ・メイタグが廃業寸前のアンカーを買収し、クラフトビールのパイオニアともいえるアンカースチームを造りました。そのアンカーが、アメリカ産ホップのカスケードを使用して造ったのがアンカー リバティーエールです。
グレープフルーツを思わせるホップの香りと、シャープな苦味が同居した味わい。最近では、缶商品も販売しており、一部スーパーで購入することができます。
ペールエールについてのまとめ
ペールエールについてまとめておきましょう。
- ペールエールはイギリス発祥の上面発酵ビール
- 大きく分けるとイングリッシュスタイルとアメリカンスタイルがある
- ペールエールをベースに、IPAなどのさまざまなスタイルが派生していった
簡単にまとめるとこんなところです。ペールエールと名前がつくものはたくさんあるので、いろいろと飲み比べてみるのもおもしろいかもしれません。