インポーターじゃない、メディアだ!DIG THE LINEが考える発信力とは

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ビールを輸入して販売する会社は、一般的には輸入業者やインポーターと呼ばれています。2019年5月に設立したDIG THE LINE株式会社も、ヨーロッパからビールを輸入しているインポーターだと思っていたのですが、インポーターとは言わないようなのです。では、インポーターでなければ何なのかというと、メディアだという答えが返ってきました。

なぜインポーターと言わないのか。インポーターとメディアの違いは何なのか。

2020年6月11日には、リニューアルした京都の新風館にDIG THE LINE BOTTLE&BARがオープンしたということもあり、DIG THE LINE株式会社取締役COOの本間浩揮さんにその意図を聞いてきました。

いつかは日本酒造りを再開させたい

DIG THE LINE取締役COO本間浩輝

――まず、DIG THE LINE株式会社のコンセプトから教えていただけますか? 京都・烏丸御池のBEFORE9や東京・目黒のANOTHER8を経営している株式会社酒八が姉妹会社なんですよね。

本間浩揮(以下、本間):そうですね。まず酒八のコンセプトとして「日本のクラフト酒類を世界に」を掲げています。酒八のルーツは、滋賀県守山市にあった蔵元なんです。

――日本酒を造っていたんですか。

本間:ただ、日本酒造りは50年くらい前に廃業しています。今の社長が6代目なんですが、また日本酒造りに戻りたいと考えていて。

――なるほど。とはいえ、廃業後50年経ってまた再開するのは大変そうですね。

本間:蔵自体はまだあるんですよ。昔は、日本酒が生活に溶け込んでいたと思うんですよね。例えば、甕(かめ)に日本酒を入れて持ち帰るようなことを現代的にやってみたいなと。それと、純粋に日本のものづくりを世界に紹介したいという思いもありますし。

BEFORE9

BEFORE9

――そういった思いがあって、酒八でBEFORE9やANOTHER8をやっている、と。

本間:はい、そしていずれは日本酒造りに戻りたいので、それらをつなぐ「線」を作りたいと思ってDIG THE LINEを立ち上げたんです。

――その「線」とは?

本間:いつか日本酒造りを再開するとして、そこから世界に紹介するにはどうしたらいいかを考えました。ただ造って売るだけでは届かない。日本もどんどん人口が減っていって、まず日本で選ばれるためには、しっかりとストーリーや歴史を伝えることが必要だなと。日本の消費者とつながれるように、発信力をつけたいと思ったんです。

――なるほど。自分たちと消費者をつなげるルートを作りたいということですか。

本間:そうですね。なので、DIG THE LINEのスローガンは「Connecting Craft」。そして、発信力がついたら日本酒を造って届けられるようにしたい。

輸入するだけではなく、それを発信するメディアとして

DIG THE LINEが輸入しているビール

――とはいえ、なぜビールを輸入して販売しているのか、なぜビールなのかという疑問はありますね。

本間:現状としては、日本酒造りをすぐには再開できないですし、といっても自分たちのプロダクトは必要。自分たちが好きなものを造って売りたいけど、まずは好きなものを輸入してきて発信しようと。

――プロダクトを造るまでに時間がかかるので、まずは自分たちの思いを代弁できるものを輸入するわけですね。そこでなぜビールなんですか。

本間:僕が前職でビールのインポーターをやっていたということもありますね。そのときにヨーロッパを訪れて、まだ日本人が経験していない味わいのビールがたくさんあることを知ったんです。それをどうしても紹介したかった。

――確かに、まだまだ知られていないビールは山ほどあるでしょうね。

本間:もちろんビールである理由はそれだけではないですが、ビールから離れるつもりはなかったですね。やっぱり、自分たちでいいと思ったものでないと、しっかり発信できないと思うんです。海外のブルワーと情報交換して、それを伝えることでビールへの入口を広げ、クラシックなビールも含めていろいろなビールにたどりついてもらいたいなと。

ANOTHER8

ANOTHER8

――消費者のビールへの認識も変えていきたいと。

本間:そうですね。そういう意味では、DIG THE LINEはインポーターではないんです。

――ビールを輸入しているのに、インポーターではない。では、インポーターでなければ何なんでしょう?

本間:メディアですね。インポーターというと、その言葉でバイアスがかかりそうな気がしていて。メディアって媒体・媒介という意味ですけど、僕たちも輸入はするんですが、それをしっかり発信するということが主です。

――なるほど。最初に言っていた、日本酒造りのための「線」を造りたいというのは、つまりその「線」がメディアということですよね。DIG THE LINEがメディアとして機能することで、消費者と造り手をつなげていく。

本間:そういうことです。いずれは自分たちの日本酒をそのメディアに乗せて、発信していきたいと思っています。

ビールイベントからオンラインサロンまで

DIG THE LINEが輸入しているビール

――日本酒造りを再開するまでにはまだ時間があるとして、ビールの輸入以外に何か考えていることはあるんですか?

本間:いくつかありますね。ひとつはビールイベントを自分たちで開催したい。海外のビールイベントを日本でローカライズして開催したいなと。あとは、ビアバーなどのお店が売りたいと思ったビールを輸入しようと思っています。

――どういった取り組みになるんでしょう?

本間:お店が売りたいと思っているビールのほうが、提供するときの熱量は上がると思うんですよ。その際に、DIG THE LINEの輸入機能だけ使ってもらえれば。僕たちは、そのお店がどんなビールを輸入して何をするか、ということを発信できればいい。

――面白い考え方ですね。お店が輸入したくてもさまざまな制約があってできなかったことを、DIG THE LINEが引き受けるということですよね。

本間:それに近いことで言えば、オンラインサロンのようなこともやってみたいんですよ。そのために東京でもDIG THE LINEのお店を出したい。

DIG THE LINE BOTTLE&BAR

DIG THE LINE BOTTLE&BAR

――オンラインサロン? 具体的に教えてください。

本間:例えば、ビールイベントというと、どうしてもお店からの発信になってしまう。それをお客さん発信にしたいんです。輸入ビールでも国内ビールでもいいんですが、あるブルワリーを応援したいので、それを広めるためのイベントをやりたいという人の手助けができれば。この仕組みをオンラインサロンのコンテンツにしたいと考えています。

――個人だと仕入れもできないし、販売もできないですからね。

本間:なので、単純にお店を間貸しするイメージです。そうするとお客さんが率先して発信してくれるじゃないですか。お客さんの友だちの友だちにもリーチするかもしれない。僕らがリーチできないところにも、お客さんが届けてくれる。

――確かに、発信してくれる人は多いほうがいい。ポジティブな発信ができそうな感じがします。

本間:僕たちも発信していきますが、使い倒してもらえればいいんじゃないかなと。コミュニティが自由に使える場所っていう感じでしょうか。

――ますますメディアっぽいですね。

本間:そうですね。DIG THE LINEはメディアだということを知ってもらうために、今後はメディアという単語をどんどん出していかないと。まずは、2020年6月11日にオープンしたDIG THE LINE BOTTLE&BARで、僕たちの考えを発信していきたいと思っています。

文:富江弘幸

DIG THE LINE BOTTLE&BAR
DIG THE LINE BOTTLE&BAR
営業時間:11:00〜24:00
住所:京都府京都市中京区烏丸通姉小路下ル場之町586-2 新風館内
交通:京都市営地下鉄烏丸線・東西線烏丸御池駅南改札口直結
席数:店内25席(ソファ8席、カウンター5席、テーブル12席、スタンド席)、テラス20席
電話:075-254-8650
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