四川風とは?本当にうまい麻婆豆腐と本場っぽく仕上げる方法を紹介

麻婆豆腐 家飲み・中食

今回は、麻婆豆腐について一言。

「四川風」という冠をつけた麻婆豆腐が世の中にありますが、はたしてそれは本当に四川風なのか?ということです。

四川とは中国の西部にある四川省のことですが、四川省の辛さについてまず説明したいと思います。

四川の「辛い」は2種類ある

そもそも麻婆豆腐は四川省の料理です。麻婆豆腐に限らず、四川料理は辛いというイメージがあると思いますが、まあ間違いではありません。ただ、唐辛子を大量に入れればいいというのは間違い。

説明しましょう。

四川料理の辛さには「麻(マー)」と「辣(ラー)」の2種類あります。「麻辣(マーラー)」という言葉は聞いたことがあるという人もいるでしょう。この「麻」と「辣」はまったく別の辛さなのです。

「麻」はしびれる辛さ。花椒という中国の山椒の辛さです。日本の山椒とは違います。しびれるというのは比喩で言っているわけではなく、本当にしびれる感じなんですよね。食べた後にはスーッとしたさわやかさもあります。

「辣」は唐辛子の辛さ。日本人がイメージする辛さそのまんまです。ただ、唐辛子といっても種類がいろいろあり、辛さのレベルも異なります。

この「麻」と「辣」の組み合わせが四川料理の辛さであって、これがない四川風麻婆豆腐は四川「風」ではないのでは、と思っています。

つまり、四川風とは、しびれる辛さの「麻」と唐辛子の辛さの「辣」を組み合わせて、四川料理のような味わいに仕上げた料理といえるでしょう。

四川と日本の違い

本場から別の地域に伝わった時に、本場と違う味になってしまうというのはよくあることです。それはそれでおいしくなる場合もあるので、一概に否定はしません。まったく四川風ではない「四川風麻婆豆腐」でもおいしいものはおいしいです。

ただ、四川風じゃないよ、っていうだけで。

じゃあ、四川の麻婆豆腐はどんな感じかというと、コレ。

麻婆豆腐

「陳麻婆豆腐店」にて。この店は麻婆豆腐発祥の店。この写真は支店ですが、まあ麻婆豆腐の一番源流に近いところのものですね。

見た目は日本によくある麻婆豆腐とそれほど変わりません。が、中央の豆腐のあたりにある粒のかけら、わかりますかね。花椒を砕いたものです。粉じゃなくて花椒の粒を砕いたものがダイレクトに入ってるんですよね。

噛むとガリっとしてしびれとさわやかさが同時にやってきます。これと唐辛子の「辣」が組み合わさると、それがまあ最高にうまい。

四川と日本の最大の違いは、やはりこの花椒があるかどうか。他にもいろいろ違いはありますが、花椒の有無で全然違います。

実は担々麺も日本と四川では違う

ちなみに、担々麺も日本とは違います。

担々麺

これは陳麻婆豆腐店で出している担々麺。小さいお椀で、ご飯茶碗くらいの大きさです。担々麺はがっつり食べるためのものではなく、おやつというかファーストフード的なもの。

担とは「担ぐ」という意味で、天秤棒を担いで担々麺を売り歩いていたので、「担麺」というワケです。留学していた10数年前でも、街なかで天秤棒を担いで売っている人をたまにみかけました。確か1杯1元(約15円)。ちょっと小腹がすいたときにいいものです。

日本で本場に近い麻婆豆腐を食べるには

じゃあ日本で本場に近い麻婆豆腐が食べられるのかよ、というご意見もあろうかと思いますので、そんなお店を紹介しましょう。

なんと言っても、一番のオススメは「赤坂四川飯店」。本店は赤坂というか、永田町が最寄り駅。系列店が全国に12店舗あります。

赤坂 四川飯店 (永田町/四川料理)
★★★☆☆3.71 ■四川料理の総本山 代々受け継がれてきた本格四川料理をぜひご賞味下さいませ。 ■予算(夜):¥10,000~¥14,999

それなりに高級店なので夜はお高めですが、味は間違いないです。ランチであれば麻婆豆腐を含めたランチセットが1300円とリーズナブル。

ご存知かもしれませんが、この店は日本に四川料理を広めた陳建民氏が創業。そして、陳建一氏、陳建太郎氏と続いているお店です。

自宅で本場に近い味を食べるには

さて、おすすめは赤坂四川飯店ですが、そうそう頻繁に行けるわけではありません。自宅で手軽に食べられれば一番いいわけなんですが、いいのがあります。コレです。

この存在を知るまでは、陳建一氏のレシピ本をもとに、豆鼓やら豆板醤やらを買って一から作っていました。

が、これを見つけて食べてみたら、自分が作るよりもうまい。まあ、うまいのは当たり前として、ちゃんと四川風なんです。それは陳建一氏がこの商品に関わっているから。

もちろん、赤坂四川飯店で食べる麻婆豆腐とは比べられないですが、唐辛子の辛さだけで「四川風」を名乗っている店の麻婆豆腐よりも当然のことながらちゃんと四川風です。

しかも安くて手軽。豆腐だけ買えば、あとはこの具材と混ぜて炒めるだけ。手軽です。もうウチでは麻婆豆腐といったらこれ一択です。本当にオススメ。ちゃんと花椒の粉も付いています。

ってことで、今日ウチで作った麻婆豆腐がこちら。

麻婆豆腐

うまーい。

あ、ちなみに豆腐は木綿がオススメです。ビールも飲んだら最高ですね。

普通の麻婆豆腐を本場の麻婆豆腐っぽくする方法

日本ハムの麻婆豆腐でなくても本場の麻婆豆腐っぽくする方法があります。手っ取り早いのは、花椒を振りかけること。どんな麻婆豆腐でもいいので、好きなだけ花椒をかければしびれる辛さ「麻」を感じられます。

ごま油を少しかけるのもおすすめです。これだけでもいい感じに風味が変わります。

あとは、好きなだけ花椒をかけて、ビリビリをとことん味わってください。

それでは皆さん、よい麻婆豆腐ライフを!

投稿者プロフィール

ビールライター。1975年東京生まれ。法政大学社会学部社会学科卒業。卒業後は出版社・編集プロダクションでライター・編集者として雑誌・書籍の制作に携わる。その後、中国留学を経て、英字新聞社ジャパンタイムズに勤務。現在はウェブ、紙を問わずさまざまな媒体で記事を執筆している。日本ビアジャーナリスト協会のビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ、サイエンス・アイ新書)など。

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