ブラッセルズビアプロジェクトは、ベルギーで2013年に立ち上げられた醸造所です。といっても、しばらくは醸造設備を持たないファントムブルワリーでした。2015年にクラウドファンディングを利用し、ブリュッセルにブルーパブを設立。
以後、レギュラービールだけでなく、数多くのコラボレーションビールも醸造しています。
2017年5月には、新宿にブラッセルズビアプロジェクト世界初の公式タップルームとしてブラッセルズビアプロジェクト新宿をオープン。同店では、ブラッセルズビアプロジェクトのボトル・缶ビールを購入することもできます。
ブラッセルズビアプロジェクトのビールを紹介!
ブラッセルズビアプロジェクトでは、年間30種類以上のコラボレーションビールを醸造しており、もう販売されていないビールもありますが、飲んだことのあるビールを紹介していきます。
デルタIPA(DELTA IPA)
デルタIPAは、ブラッセルズビアプロジェクトのフラッグシップビール。
設立当初にアルファ、ベータ、デルタ、ガンマと名付けたビールを造り、ビールファン800人による投票で選ばれたビールです。スタイルはベルジャンIPAで、いかにもベルジャン酵母を使っている感じのフレーバーがありつつも、バランスのとれたIPAに仕上がっています。
筆者がビールのセレクトに関わったPenの特集で、ペールエール部門(IPA含む)において最高の星3つを獲得しています。2016年なのでちょっと古いのですが、興味があれば下記をどうぞ。
バビロン(BABYLONE)
バビロンは、廃棄されてしまうパンを原料として使ったブレッドビター(BREAD BITTER)というスタイルのビール。ベルギーの食品廃棄の12%がパンだということから、ビールの原料として使えないかという発想が生まれたそうです。
そもそも、古代エジプトではパンからビールを造っていたという話もありますし、どちらも麦を原料としているので、おかしな組み合わせではないですね。
色合いはややダークな感じがあり、しっかりとした味わい。IBUもアルコール度数も、少し高めの設定でゆっくり飲みたいビール。
ジャングルジョイ(JUNGLE JOY)
ジャングルジョイは、パッション&マンゴー&ダブルというなかなか味が想像しにくいビール。2017年に投票で選ばれたビールで、そのスタイル名のとおり、パッションフルーツとマンゴーが使われています。
しかし、あまり甘さはなく、パッションフルーツとマンゴーのフレーバーとほどよい酸味が感じられます。
上の写真は2017年に飲んだときの写真ですが、2021年に飲んでみたらデザインが変わっていますね。こちら。
さらに、アルコール度数が5.9%に変わっていて、スタイルもパッション&マンゴーエールに。さすがに4年前との比較はできないですが、2021年のものはマンゴー感がすごい。香りがいかにもマンゴーで、味わいもマンゴー中心なんですが、甘すぎずにいい感じ。
非常においしくいただきました。フルーツビール好きにはオススメです。
ウンダーラガー(WUNDER LAGER)
ウンダーラガーのスタイルはホッピーラガー。インディアペールラガーという表記もどこかで見かけたことがあるのですが、アルコール度数は低めの3.8%。
かなりライトな味わいで、苦味も強くありません。1杯目に最適なビール。
ジュースジャンキー(JUICE JUNKIE)
ジュースジャンキーは、ブラッセルズビアプロジェクトのニューイングランドIPA。
ジュースジャンキーが最初に発売されたのは2017年。ニューイングランドIPAが出始めてきた頃ですね。2016年くらいからアメリカのニューイングランド地方で人気が出てきて、徐々に世界に広まっていった感じです。今はかなり多くの醸造所で造られています。
さて、そんなニューイングランドIPAのジュースジャンキーは、当初、イギリスのウィアードビアードという醸造所とのコラボレーションでした。ですが、現在販売されているジュースジャンキーは、コラボレーションではなくなっているようですね。ウィアードビアードのロゴも書かれていません。
また、ブラッセルズビアプロジェクトのウェブサイトでも、発売は2019年となっています。レシピもちょっと変わっているようで、2017年のものはアルコール度数6.4%、2019年のものはアルコール度数5.4%です。
2017年のものは飲んだかどうか記憶は定かでないのですが、2019年のものは非常にジュース感がありますね。ベルジャン酵母は使ってないようなフレーバーで(実際に使っているかどうかは不明)、すんなり口の中に入ってきます。とろっとした口当たりではないので、さわやかな感じで飲めるのではないでしょうか。
ブラッセルズビアプロジェクトならではのニューイングランドIPAといえるのかも。
ピコ ベロ(PICO BELLO)
ピコ ベロは、ブラッセルズビアプロジェクトのノンアルコールビール。ただ、ノンアルコールといわれていますが、正確には0.3%のアルコール度数となっています。
日本のノンアルコールビールといえば、ピルスナーの味わいを目指した商品が多いですが、このピコ ベロはヘイジーIPA。缶には、Hazy IPA Zeroと書かれています。
グラスに注いでみると、ヘイジーというほど濁っていませんが、比較的ライトな色合いで少しだけ濁った感じがあります。また、シトラス感バリバリというアロマではなく、パイナップルやピーチのようなニュアンスも。
飲んでみると、かなり酸味があることに驚きます。すっきり、さっぱりした味わいの中にトロピカルフレーバー。かなりリフレッシュできるノンアルコールビールです。
ダークシスター(DARK SISTER)
ダークシスターはベルジャンブラックIPA。デルタIPAの邪悪な妹をイメージしたようで、ホップと酵母はデルタIPAと同じものを使用しています。
スタイルはベルジャンブラックIPA。ロースト感とホップのしっかりした苦味が感じられ、軽い甘味とともにバランス感ある味わいに仕上がっています。
アルコール度数6.66%というところが邪悪感ありますね。
モーニングサンシャイン(MORNING, SUNSHINE!)
モーニングサンシャインは、2016年に販売されたマルチシリアルベリーエール。マルチシリアルベリーエールとはなんぞや、と思いますが、シリアルがマルチでベリーも使っているようです。
シリアルとは、ピルスナーモルト、ウィートモルト、オートミール、スペルト小麦、ライ麦のことですね。ベリーは、ブラックベリーとラズベリー。これらを使って、朝食に合うビールというコンセプトで造られたようです。
ベリー系の酸味がありますが、強すぎずいい感じ。苦味もなく、ホテルの朝食で出てくるようなフレッシュジュースを思わせます。アルコール度数は5.2%。普通のビールと同じくらいのアルコール度数ですが、口当たりはほとんどアルコール感がないですね。
トーストを食べた後に飲んでみたいビール。うまいです。
ラストフォーライフ(LUST 4 LIFE)
ラストフォーライフは、2020年5月に発売されたベルジャンセッションIPAです。lustとは欲望とか渇望とかいう意味ですが、ビールの名前としては生への渇望といった感じでしょうか。
This beer is a tribute to all the good energy we received lately from our community!
ということなので、これまでに関わってきた人たちへの感謝も込めている感じでしょうか。
味わいとしては、セッションらしく軽やかです。アロマはグレープフルーツ感があるんですが、飲んでみるとかすかにココナッツっぽさもあるんですよね。どうやらソラチエースを使っているようで、もしかしたらそれが出ているのかもしれません。
ココナッツっぽさを除いたら、オーソドックスなベルジャンセッションIPAとでもいえるでしょうか。苦味はそこまでもないですが、全体的にバランスのとれたビールです。
アラワク(ARAWAK)
アラワクは、ブラッセルズビアプロジェクトとDJユニットのLeMotelとのコラボレーションビール。アラワクのそのものの意味は、ボリビアやペルーに住む民族のことで、LeMotelがアラワクが住む地域からインスピレーションを受けているらしいですね(ソースが曖昧なので断言できないのですが)。
ビール自体は、グァバサワーというスタイルで、その名の通りグァバを使った酸味のある味わいです。
ソレイユルヴァン(SOLEIL LE VANT)
ソレイユルヴァンは、日本のベルギービール店の草分け的存在であるブラッセルズの30周年を記念して造られたコラボレーションビール。
ラベルに「花」と書かれているように、実際に花を原料として使っています。スタイルはフラワーセゾン2016年に造られたときはローズ、ハイビスカス、カシスを使用していましたが、翌2017年に使われた花はジャスミン、エルダーベリー、ケシでした。
2016年はものすごく華やかな感じのある味わいで、2017年にはその華やかさが落ち着いて苦味が強くなった印象。
2018年はジャスミン、バラ、オレンジブロッサムだったようですが、飲んだ記憶がなく……。しっかり調べたわけではないですが、2019年以降は造られていないようです。
エタニティー(ETERNITY)
エタニティーは、キューカンバーサワーウィットとなっていたり、ジンインスパイアードサワーとなっていたり、なかなか不思議なビール。
VITALIC OFFICIALというアーティストとのコラボレーションビールで、「Voyager」というアルバムに収録されている「Eternity」という曲の世界観を表現しています。キュウリとジュニパーベリーのアロマが特徴。
ゼニスゼスト(ZENITH ZEST)
ゼニスゼストは、京都醸造とのコラボレーションビール。柚子と山椒を使用している柚子セゾンです。
スタイルはソレイユルヴァンをベースに、京都醸造の維新伝心で使われている酵母を使っています。これはデュポン醸造所由来の酵母だそうで、ベルギーと日本のつながりが表れている感じがしますね。
柚子の落ち着いた香りと山椒の複雑な香り、酵母のスパイシーさが複雑に組み合わさって、うまくひとつにまとまった味わいになっています。
レッドマイリップス(RED MY LIPS)
レッドマイリップスは、2016年に東京でも開催された試飲会を含め、いくつかの試作品の中から投票で選ばれたビール。パッションフルーツのようなフルーティーさがある、さわやかなベルジャンセッションエールです。
BBPのビールを飲むならブラッセルズビアプロジェクト新宿で
ブラッセルズビアプロジェクトのビールを確実に飲みたいなら、ブラッセルズビアプロジェクト新宿へ。デルタIPAなどの定番ビールなどが樽で飲むことが可能。それ以外にも、コラボビールなどの限定ビール、ゲストビールなどのほか、ボトルも販売しています。